第241章

島宮奈々未は夢にも思わなかった。逃亡中の藤原邦達が宅配便の配達員に化け、この屋敷へ紛れ込んでいたなんて。

「東守……西守……!」

助けを呼ぼうとして、はっとする。東守も西守も、いまはトレーニングルームで海人と太郎に射撃を教えている最中だ。

間に合わなかった。

藤原邦達は布切れを手に、すっと距離を詰める。次の瞬間、奈々未の口と鼻を一気に塞いだ。ツンとした薬品臭。抵抗する暇もなく視界が滲み、数秒で意識が闇に沈む。

藤原邦達は手早く奈々未を三輪車へ押し込み、何事もなかったようにペダルを踏んで別荘区を出た。

門の警備員の前を通るときには、やけに愛想よく声までかける。

「お疲れさっす。一...

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